オシムの言葉その1

本書は選手としてのキャリア、そしてメインとなる監督としてのキャリア、そして現在までを自身の言葉で振り返る。彼が生きてきた時代、土地を訪れ彼が発した言葉の本当の意味を追ってる。
著者の旧ユーゴでの取材経験の豊富さから綿密な取材をしてるのが感じられた。
オシムが発する言葉で選手、通訳、協会の幹部から普通の市民までもが魅了されたこと。そして驚いたのは多民族国家でもあった旧ユーゴスラビアであるのに誰ひとり彼を憎むものはいないということ(一部のマスコミを除く)。
一番印象に残ったのは代表監督と兼任で指揮してたパルチザンベオグラードが92年にユーゴカップの決勝でレッドスターベオグラードに勝利したときの言葉
  「これでおしまいだ」
妻をサラエボに残し、ベオグラードで指揮を取る。この以前からサラエボが攻撃されて外世界と遮断され、家族離れ離れになる。そんな中、代表は目前に迫ったユーロ92での監督としての進退がマスコミで取り上げられるようになる。後任候補の名前が挙げられるでのこの言葉。この一言で張り詰めてたものが解放されたのと同時に苦しい胸の内が読み取れた。
そしてその後選手と共にレストランで選手全員が今日のタイトルの言葉を叫んでクラブ、代表の残留を訴えてた。近い将来、彼が日本を離れる時が必ずある。その時は同じようなことが起こるのだろうと思った。選手と一定の距離を置いて指導法なのにここまで信頼を築き上げるのは物凄いことだ。